カウンセリング予約後も、当然として会社から指示されている自宅待機は続きます
盗撮という犯罪を犯した性犯罪者の僕が家の中できることは限られていて、反省と更生はもちろんのこと、解雇の可能性が高いと考えていたので転職の検討をしなければなりません
ですが、四六時中できるわけでもなく、時間はかなり持て余していました
ゲームや映画などで時間をつぶすことも考えましたが、そのような怠けた生活の毎日を過ごしてしまうと、いざ復職したときに自分を取り戻すことができなくなるかもしれないと考えたことや、なにより、傍らで妻は仕事、子供たちは学校という通常の毎日を送る中でそのようなことはできませんでした
その状況で、自分のスケジュールが埋まったことに対して、なんとなく嬉しいような複雑な感情を抱いていました
ただこの時点では、先の記事にも書いた通り、僕自身盗撮の再犯を犯すイメージが全くわかなかったうえ、1回8,000円という高額なこともあって、初回のカウンセリングの中で、できるだけ再犯を犯さないためのポイントをつかんで、何回も通うことがないようにしたいと考えていました
そうしてカウンセリングを予約した日となりました
場所は市中繁華街の雑居ビル
久しぶりに人ごみの中を歩いていると、性犯罪者である自分に対して孤独感を感じ、どこかよそよそしくなって、人目も気になりました
雑居ビルはネイルサロンなどの様々なテナントが入っていて、一見すると病院のような感じはありません
そして扉を開けて部屋に入ると、中には中年の一人の男性がいました
部屋はワンルームで、ソファーやテーブルなど最低限の家具でしつらえられておりとても落ち着いた空間で、男性に促されてソファに腰掛け、まずはこれまでの経緯を説明したあと、続いて生い立ちなどを伝えました
カウンセリングの時間は60分、カウンセラーの男性はほぼ聞き手になっていました
自宅待機の間、家族以外の他人と話す機会が全くない中で僕は饒舌になっていたと思います
その中でカウンセラーの男性は、「通常であれば理性が欲望を抑えることができるが、あなたの場合は理性が欲望に負けてしまったために犯罪を犯してしまった」
「次回以降はなぜ理性が負けてしまったのか深層心理から解き明かしていきましょう」と言って初回のカウンセリングは終わりました
ふと時計を見ると60分を過ぎていました
当初目論んでいた、再犯をしないコツの確認などという簡単なものではないことがわかりました
それでも、自分が犯してしまった盗撮について他人に話したことによって、心が軽くなったような気がしました
でも、8,000円は高いよなと感じながら帰途につきました
帰りは、仕事帰りの妻と合流して車で一緒です
途上、カウンセリングの内容を妻に伝えたところ、「カウンセリングで普通の人になれればいいね」と妻が言いました
次回のカウンセリングは妻も同行することになり、帰宅しました